いきぐされ

言い訳と練習

0426

雨。じくじく水が滴る音と、ときおり車がアスファルトを滑る音。わたしの部屋には時計もないのでわたしが何かしない限り生活音は生まれない。半開きのキャリーケースと実家から届いた段ボールがあるだけで部屋をうろつくにも工夫が要る。

ここ1年くらい、言語化がひどく億劫になってしまった。自分の内にある悲しみとか怒り。この前あったこと。学生の頃は駅前を歩くだけでも頭の中でずっと自分がわんわん喋っていて、それをなだめながら、思い立った時には書き留めながら過ごしていた。今はなんども手を止めて、自分にお伺いを立てなければ書き進められない。

そのかわりよく泣くようになった。悔しい悲しいもそうだけど何かに感動して涙が出ることがこれまでめったになかったので、単純に老けたんだなあと思う。アイドルマスターの曲で泣いて、THE FIRST SLAM DUNKで泣いて、違国日記を読み返して泣いた。これがここ1週間ほどのことと思うと本当に驚く。

休職して、ここしばらくは盛岡に帰っていた。桜を見たり池で鴨を見たり、少し良いお酒を買ってみたりして過ごしていた。ひたすらに居心地がよくて、それなのにいればいるほど自分が恥ずかしくて情けなくて、不眠が酷くなっていった。休息を休息として甘受できない自分にも嫌気がさす。こんなことを書いていることも。盛岡を離れる2日ほど前になってやっと今の自分の状態と将来の不安のことを話すと、親がひたすらに優しく励ましてくれて、また泣いた。それが安心によるものなのかはわからなかった。

アパートの近くにある居酒屋さんの店主に、やりたいことリストを作ればいいよと言われたことをふと思い出した。たしか転職したいとかそんなことを言ったときに。その時のメモには「映画館で映画を見たい」「ギターが弾けるようになりたい」「絵が描けるようになりたい」など。今はなんだろうと思って、いま日記を書き始めた。日記ともつかない薄暗い文章になってしまった。明日以降はもっと雑に、そしてだんだん軽やかに書けるようになりたい。

日記に書けるような日々を過ごしたい。